第14話 魔法にかかった子犬 (1/2)

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湯気がたつマグカップ。手のひらをあたためるようにミツルは珈琲をすする。

「私、寝る前にこれ飲むと、寝付き悪くなるのよ。カフェインだもんね。ちょっと話さない?」

鈴香はあいかわらず毛布にくるまった姿勢だ。

「あの、シャツとジャージ貸しましょうか」

ミツルが安っぽい箱からしわくちゃのTシャツを取り出そうとする。

ミツルの背中を見て、鈴香の中でまたマッチに火がついた。鈴香はベッドに腰掛け、毛布を脱ぎ捨てる。

ミツルがあわてて目を逸らす。

「これ、着てください。洗濯してあるんで」

「ミツルくん、さっきね、リョウさんとしてないのよ。できなかったんだ。だから……なんか私、煮え切らない気分なの……」

「……はあ? ……」

服を着ていない鈴香が、ベッドに座りながら立てた膝を30センチほど開ける。

さっきじらされた部分がミツルを誘うように口を開く。

「言ったでしょ。寒いから一緒に寝ようって」

鈴香が右手を差し出して手招きする。

ミツルは呪文をとなえられて魔法にかかった子犬のように一点を見つめてフラフラと鈴香に手繰り寄せられていく。

一糸まとわぬ女が自分のベッドで手招きをしているなど夢にちがいない。ミツルはそんなことを考える。

先輩が持ち帰った女を先輩は放り出していなくなった。

 

この連載: 恋愛とセックスのかけ算/35歳 鈴香の場合

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